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腰痛に効果的な漢方薬と生活習慣について
生活環境や生活習慣の変化から、年々増加している腰痛ですが、腰痛に悩まされている人は、全体の9割と言われています。
腰痛の原因は様々で、腰の骨や関節等に問題がある場合や老化や姿勢からくる筋肉の衰え・損傷、生理痛等、原因は多岐にわたります。
また尿路結石や腎結石、膵炎、子宮内膜症等のサインとして腰痛が起こる場合もあります。
ざまざまな原因で起こる腰痛ですが、その中で最も多い原因は、腰の筋肉の衰えや冷えによる腰痛です。
漢方薬は、老化や姿勢からくる筋肉の衰え、血行不良、冷えから起こる慢性的な腰痛に効果があります。
今回は、腰痛に効果的な漢方薬についてご紹介します。
「腎」や「血」、「水」の機能が弱まると腰痛が起こる
漢方の考え方に「気・血・水」と「五臓」という考え方あります。
漢方では、「腎」の機能が弱ることで「血」や「水」の滞り、腰痛が起こると考えられています。
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「気」とは、元気や気力など、目に見えないエネルギー
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「血」とは、血液
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「水」とは、血液以外のリンパ液や汗などの体液
「腎」は五臓の一つで、五臓には「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、
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「肝」は、気や血の流れなどをコントロールする役割
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「心」は、五臓をコントロールする役割
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「脾」は、消化吸収機能をコントロールする役割
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「肺」は、呼吸機能をコントロールする役割
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「腎」は、体内の水分代謝などをコントロールする役割
があります。
五臓が、それぞれの役割通り機能することにより、「気・血・水」のバランスが整い、健康が保たれると考えています。
「腎」は具体的に言うと、腎臓のことだけではなく、泌尿器や生殖器の機能なども含めた働きを指します。
また「血」は血液とその働き、「水」は体液など血液以外の水分を示しています。
漢方では「腎」や「血」、「水」の状態を改善する漢方薬を用いて、腰痛の症状を改善していきます。
腰痛に効果的な漢方薬
老化から起こる腰痛に効果的な漢方薬
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
疲れやすく冷えやすく、むくみやすい人で、冷えやだるさ、手足のしびれなどに効果があります。
また、加齢や過労などにより腹筋や背筋が弱っている人にもおすすめです。
配合されている生薬
地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、牛膝(ごしつ)、車前子(しゃぜんし)、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)です。
血行不良から起こる腰痛に効果的な漢方薬
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
姿勢の悪さや不摂生で血行不良になっているタイプの人で、腰痛のほか、関節痛や筋肉痛などに効果があります。
配合されている生薬
地黄(じおう)、当帰(とうき)、桃仁(とうにん)川芎(せんきゅう)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、牛膝(ごしつ)竜胆(りゅうたん)、陳皮(ちんぴ)、羌活(きょうかつ)、威霊仙(いれいせん)、防已(ぼうい)、防風(ぼうふう)、白芷(びゃくし)、甘草(かんぞう)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)です。
腰の冷えから起こる腰痛に効果的な漢方薬
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
腰痛、坐骨神経痛に効果があり、腰が冷えて排尿回数が多い人に向いています。
配合されている生薬
茯苓(ぶくりょう)、乾姜(かんきょう)、白朮(びゃくじゅつ)甘草(かんぞう)です。
腰痛、頻尿、眼精疲労などに効果的な漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)
「気・血・水」を整える効果があり、疲れやすく、手足が冷えやすく人で、腰痛のほか、頻尿、高齢者のかすみ目、眼精疲労に効果があります。
また昔から、腎が弱っている人に対して用いられてきました。
配合されている生薬
地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂皮(けいひ)附子(ぶし)です。
腰痛に効果的な漢方薬をご紹介しました。
いずれの漢方薬も薬局やドラッグストアで購入できます。
薬剤師さんに症状を相談して、自分に合った漢方薬で腰痛を改善しましょう。
腰痛に効果的な習慣について
前述でもご紹介しましたが、腰痛は腰の筋肉の衰えや姿勢により、痛みが起こることが多くあります。
次のことに注意して、腰痛になりにくい身体を作り、また腰痛を悪化させない習慣を身に着け腰痛を改善しましょう。
常に姿勢を意識しよう
長時間のデスクワークなどで猫背を続けるなど姿勢がよくないと腰に負担をかけて背骨のS字カーブを崩してしまいます。
よい基本姿勢を常に意識し、気が付いたときは正しい姿勢に戻す癖をつけましょう。
腰に負担を掛ける動作をしていませんか
中腰、前かがみなど不自然な姿勢をなるべくとらないようにしましょう
同じ姿勢を長時間とらないようにし、30分に1回は腰を回したり体を伸ばすなどストレッチをしましょう
急な動作、腰の不意なひねりを避け、動作時は視線も動作に合わせる習慣をつけましょう。
仕事の合間や自宅でできる腰痛予防
ストレッチは、腰を支える筋肉を強化し柔軟性を高め、姿勢を矯正する効果もあります。
無理はせずできる範囲で行いましょう。
ストレスを解消する入浴法
精神的なストレスも長引く腰痛の原因であるといわれています。
40℃ぐらいのぬるめのお湯にゆったりと入浴することは、血行をよくして筋肉の緊張をほぐし腰痛を改善するとともに、日常のストレス解消のためにもよいでしょう。
さらに入浴剤などを使えば、より入浴効果も高まるでしょう。
痛みがないときは運動で筋力を保つ
筋力が衰えると腹圧も下がり、腰の支持性が低下します。
背骨や腰を支える筋肉の柔軟性を保つために日々適度な運動を心がけましょう。
腰に負担のかからない寝方
人によって楽な寝方はそれぞれ違います。
どのような寝方がよいかは一概にいえませんが、腰痛を経験した人は仰向けで足を伸ばした姿勢で寝るときに腰に痛みを感じる場合が多いようです。
その場合は、横向きになるか、膝の下にクッションを入れて膝が曲がるようにするとよいでしょう。
まとめ
今回は、腰痛に効果的な漢方薬についてご紹介しました。
腰痛の原因は、生活習慣から起こることが多くあります。
「腰痛にならない・悪化させない」生活習慣を身に着け、また漢方薬の力を借りることで、腰痛を改善しましょう。